アロンソ
フェルナンド…アロンソというレーシングドライバー
彼は2001年から19歳でF1デビューした。
近代F1では年々と若年化が進んでいたが当時としては異例の若さのデビュー。
当時最弱のミナルディチームの車に乗っていた。
しかし、決勝では格上の車より前でゴールしていた。
当然、画面に映る事は少なかったが、レース終了後の結果を見て
「ん?アロンソが最下位でなく完走してる。最も遅いマシンだというのに…」
よく思っていた。
そんなことを他のチームが見逃すはずもなく、テストドライバーを経て2003年は上位チームのルノーからシーズンスタート。
2005、2006年と2年連続チャンピオンになった。しかも当時の最年少チャンピオン。
2000〜2004年5連続チャンピオンである現役最高のミハエル・シューマッハはアロンソに負け引退した。
その後は名門のマクラーレンに移籍。
チームメイトはルイス・ハミルトン。
現在最高のドライバーと評され今年もチャンピオン最有力候補のハミルトン。
でも、2007年はデビューイヤーで、アロンソと組んだ。
シーズン前は当然アロンソのチャンピオンを予想した人が多かったが、ハミルトンのミスのない走りと、アロンソの焦りを感じるレースがよく見られていた。
2人の確執はひどくなり、結果的にチームとしてまとまりがなくなり、最終戦でフェラーリのキミ・ライコネンに逆転チャンピオンを許した。
ハミルトンに対してはチーム批判をしてプレッシャーをかけたり、ハミルトンのピットのタイミングを邪魔したりとクリーンファイトで戦えていなかった…
マクラーレンとの契約は1年で切り上げ、翌年から古巣のルノーに移籍。
トップチームでなくなったマシンではチャンピオン争いができず2年で移籍。
2010年からはフェラーリのエースになる。
初年度からチャンピオン争いをして、圧倒的有利な展開で最終戦に臨むものの、チームとアロンソ自身の油断でチャンピオンになれず…
その後は2012年にもチャンスがあったものの、ライバルに敗れる。
この時もチーム批判があった。
2010年ドイツGPでは無線で
「トップを走るチームメイトのマッサより自分の方がペースは良いのにその後ろを走るなんて馬鹿げている」
と露骨なポジションチェンジをチームに要求した。
マッサはチームの指示に従いアロンソに譲った。
当時の規則ではチームオーダーは禁止。
順位を入れ替えるのは表向きには許されていなかった。
それでも、チャンピオン争いの為にやむなくやっていたチームはあったが、アロンソのあの無線はあまりにも…
レース後のインタビューでアロンソは
「チームオーダーはなかった。マッサはギアトラブルで遅れたのだと思い抜いた」と言いのけた。
このレースからアロンソ嫌いになった。
ルノー時代は性能に劣るマシンで勝利したアロンソは好きなドライバーだったのに。
そして…2015年にマクラーレンにカムバック。
その年からエンジンは7年ぶりにホンダが復帰し、セナを3度チャンピオンにした最強マクラーレンホンダを連想させた。
2014年からレギュレーションが大幅に変わり、26年ぶりにターボエンジンがスタンダードになった。
ホンダの初年度はパワーなし、耐久性にも問題あるエンジンであった。
チームもアロンソもそこは理解していた。
翌年もなんとか入賞できるレベルにまで向上するもチャンピオンには程遠い。
ホンダの地元鈴鹿での日本GPではストレートで簡単に抜かれる状態にアロンソがチームとの無線でキレた
「GP2エンジン GP2……アァー‼️」
GP2とはF1の下のカテゴリーである。
国際放送で世界中に流れたホンダ批判…
だが、マクラーレンもアロンソもホンダも2年間は関係良好であった。
そして…2017年。
徐々に上向きだったエンジン。
新しい設計のエンジン開発に失敗し、開幕前からつまづいた。
予選も決勝もアロンソの腕を持ってしても後方集団に埋もれていた。
インディ500にも挑戦し、予選で2列目に並び、決勝でも一時はトップを走り、優勝も狙えた位置にいたものの、結果は惜しくもマシントラブルに終わる。
ホンダとの3年目に期待していたチームとアロンソの怒りが爆発。
結果が出ない原因をホンダエンジンのせいにした。
それもマスコミの前で世界中に…
ホンダも懸命に努力し、後半戦は結果も上向きになり、最終戦には中堅チーム位の実力にはなっていた。
2018年にはマクラーレンとホンダは別の道を歩むことへ。
2018年の開幕でいきなり入賞したアロンソは
ゴール直後の無線で
「これで今年は戦える!」
と言ってのけた。
確かに新たにルノーと組んだマシンは良いマシンに見えた…
しかし…徐々に今までの判断が間違えていたことに直面する。
マクラーレンのストレートの遅さはエンジンによるものと思われていたが、ルノーにスイッチしてからも遅かった。
そして、ホンダが新たに組んだトロロッソチームのストレートスピードは決して遅すぎるということもなかった。
シーズン後半にはルノーエンジン搭載のチームより速かった。
多くの人がついに気づいた。
マクラーレンが遅いのはホンダだけのせいではなかった…と。
実は2014年からマクラーレンは遅くなっていた。
ホンダと組んでいた3年間はアロンソもチーム首脳もホンダ批判を繰り返していた。
元F1ドライバーも便乗し
「マクラーレンのエンジンがホンダでなければ最速のマシンだ」とも言い出す始末。
多くのF1ファンは真相を知り、マクラーレンとアロンソに激怒した。
2019年マクラーレンは首脳陣と技術スタッフを見直し、結果は上向き。
今年も4番目に速いチームでいる。
アロンソは2018年に耐久レースと掛け持ちでF1参戦していて、トヨタと共にルマン24時間も制した。
世界3大レース
モナコGP
ルマン24時間
そのうちの2つを制したアロンソ。
3つ制したのはグラハム・ヒル1人だけ。
当然、レーシングドライバーとしてインディに勝ちたい。
2019年もインディに参戦するも、まさかの予選落ち。
マクラーレンチームの準備が足りず、マシンの出来が不十分だった。
そして…
今年のインディ500練習走行でクラッシュし、予選結果も後方に沈んだ。
来週の決勝レースで優勝には程遠い。
一波乱、二波乱、もう一波乱があっても優勝には届かない…それほどの差がある。
まあ、レースは最後まで分からない。
特にインディは運も必要なレース。
一時は最速のドライバーの1人であったアロンソだが…トップフォーミュラのレースから1年以上遠ざかっているアロンソ。
これほど苦戦しているのはアロンソ自身の問題とも言われている。
確かにモータースポーツは道具の差が出やすい。
あのアイルトン・セナも
「最高のマシンがあれば最速のドライバーでなくても勝てる。
最速のドライバーでも最高のマシンがなければ勝てない」
と言っていたことがある。
インディ500はアメリカのトップフォーミュラであり、最速のカーレースだ。
ドライバーの腕だけでは勝てない。
今年のインディ500の予選結果を見ると…予選上位にいるのはホンダエンジン搭載のマシンばかり、1台だけシボレーエンジンがいた。
こうなると、インディ500ではホンダエンジン有利なのは明白。
アロンソは2017年のインディではホンダエンジンだったが昨年からシボレーになった。
2017年はインディ経験豊富なアンデレッティチーム、マクラーレン、そしてホンダエンジンのジョイントで良い走りをした。
昨年と今年はマクラーレン+シボレーエンジン。
実は今年はアンドレッティのチームからアロンソにオファーがあったが、ホンダ側が強く反対したと言われている。
ホンダの気持ちはわからないでもない。
散々批判してきたドライバーの名誉の為に協力したくはない。
F1とインディのホンダエンジンに携わっている人は別々のエンジニア達かもしれないが…アロンソとマクラーレンには恨みはあるだろう。
F1の結果やアロンソの批判の言葉には本田技研の経営にも悪影響があったのではないか。
いずれにせよ現在のインディでのアロンソの窮地は自業自得かもしれない。
速いドライバーなのは多くの人が認めるところ。
だが、フェラーリ時代やマクラーレン時代で良好な人間関係を築けず、マシン開発に注力しきれなかったのはアロンソ自身だ。
チーム批判をし続けてマシンが速くなるものではない。
対ホンダでいえば、セナやマックス・フェルスタッペンは実に上手い。
単に批判するのではなく
「ライバルとの差は大きい。まだまだ、改善していかなければならない」とホンダにハッパをかけていた。
ホンダもそれに応えて、ナイジェル・マンセルいうところの「ホンダはF1に取り憑かれている」と言わしめるくらいのハードワークをこなし、エンジン性能を向上させてきた。
アロンソGP2エンジン発言から5年…
ホンダはトップチームのレッドブルと共に最強のメルセデス相手に戦い、チャンピオン争い中。
アロンソは…来年再来年と三度F1ルノーチームから参戦が発表。
来週はインディ500レース
さあ、アロンソ。
愛読書は宮本武蔵の五輪書であるアロンソがどれだけ走れるのか興味深い。
インディ制覇は今年ラストチャンスかもしれない。
数年後にホンダと和解し2017年体制と同様に走れればもしかして…
力の限り走って欲しい。
力の劣るマシンで結果を出したレースをいくつか覚えています。
腕だけでは勝てない。
結果なんかどうでもいい。
かつてのF1最年少チャンピオンの走りを多くのモータースポーツファンに届けてくれアロンソ!
Ever Since the World Began.
The Measure of a Man.
Man Against the World.
Get Myself Back.
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